コストを喰う原因は広告費
人手不足解消のため積極的に採用活動をしたいけれど、どうしても予算が確保できないという中小企業は非常に多いです。
できる範囲で募集を行っても人が集まらない、そもそも採用活動に社員の手が回らないという悩みも少なくないでしょう。
近年はインターネットを活用した採用活動も活発化していますが、いざ取り組もうとしても、何種類もある採用方法の中から何を選べば良いかがわからないという声もあります。
ただ、中小企業が効率的な採用活動を実施するのであれば、やはり自社に合致する最適な採用手段を知り、メリットデメリットを含めて選び抜くことが何より重要です。
毎年経済ニュースで中小企業の人手不足が叫ばれますが、そこから脱却するためには、抜本的に採用手段を企画し直す必要があるでしょう。
とはいえ、予算が厳しい中小規模の企業にとって何より気になるのは、採用活動にかかるコストです。
必要なのは採用コストの現状を知ることであり、素朴な疑問として「いったい何がコストを喰っているのか」という実態を知ることが重要です。
2017年度のデータですが、日本企業全体の採用にかかるコストの平均値は、内定者1人あたり54万円程度でした。
これだけでも決して安い金額ではありませんが、この額は年々上昇傾向にありますので今後はさらに高額が予想されるでしょう。
いったい何がそんなにもコストを喰っているのか、答えは「広告費」です。
採用活動における広告費の割合は全体の40%以上を占め、これがダイレクトに採用コストに影響を与える結果となっています。
有効求人倍率は依然として高く、求職者が企業を選べる売り手市場が続いています。
大々的に広告を打って求職者の興味を惹き、イメージ戦略などでアピールする企業が急増しているのも理由あってのことです。
中小企業庁の統計を見る限り、企業の従業員数が少なくなればなるほど人材を集めにくくなっており、知名度が採用結果に影響する厳しい現実が見て取れます。
この数字だけを見ると、広告費に予算をかけられない企業は、満足に採用活動ができないかのように感じてしまうのも致し方ないのかもしれません。
コストをかけずにできる採用手法はあるのか
中小企業庁が中小企業の採用活動に利用されている手法をまとめたデータによると、最も利用実績が多いのはハローワーク(69%)でした。
次いでリファラル(46.7%)となっており、ともに無料の活動が多く実施されていることがわかります。
成功率でいうとトップはリファラルで83.2%、次いで取引先からの紹介が79.8%となっていますので、やはり人伝て頼みというのが現状でしょう。
リファラルというのはいわゆる「縁故採用」で、従業員の紹介や推薦から人員を確保する方法です。
中には紹介して採用となった従業員にインセンティブを支払うケースもありますが、それでも広告費をかけるよりはずっと低コストなため、中小企業では実施されるケースが多いでしょう。
また、リファラルならそもそも採用活動を行う担当者を設置する必要もないため、人手がなくて採用活動に手が回らないところでは多く実施されています。
そしてハローワークは、周知のとおりすべての募集活動・採用が無料で行えるため、やはり多くの中小企業が利用しています。
ただそれで満足できる人員が確保できるかというと、もちろんそんなことはないこともご存じの通りでしょう。
その手法が最適だからというよりも、現状手がないためそれしか選択肢がないと考えているのが実態です。
お金をかけずにできる採用手法はある
ここまで読むと、やはり知名度や資金力のない中小企業は満足な採用活動ができないと考えるかもしれません。
でもそれはまったくの誤りだと先に言っておきましょう。
事実、 数十名の従業員しかいない知名度の低い中小企業でも、予想を遥かに上回る応募数を獲得している事例が数多くあるからです。
たとえば、独自の高い技術を魅力として打ち出した精密加工業の会社が、たった数名の営業人員募集に対し、150名を超える応募者を集めた事例もあります。
もちろん知名度もなく従業員数も30名に満たないような工場でも、伝え方ひとつで全国からそれだけのレスポンスを集めることは可能なのです。
そうした中小企業に共通する特徴は、効率的な採用手法を確立し、オリジナルの情報発信を行っていることです。
多くの場合、自社の採用サイトに魅力を伝える十分な情報を掲載し、費用を極限まで抑えて独自の勝ちパターンを確立しているといえるでしょう。
もちろん十分な情報開示を行うためには一定の時間を費やす必要がありますが、採用担当者や経営者自らがその時間を確保し、採用に真正面から向き合う姿勢を採っているのです。
SNSを活用して広く自社の事業方針や技術、仕事に対する誇りなどを発信し、インターネット掲示板なども利用して自社の魅力を不特定多数の人々に伝える努力をしています。
まず、自社サイトに採用専用のページを設けることが重要です。
手間はかかりますが、WEBページの作成自体はお金がかかることではありません。
またSNSで発信すること自体は無料でできるため、採用したい層に強いプラットフォームを選び、閲覧者を増やす努力をしましょう。
SNSの場合、情報を発信するだけでなく、求職者へダイレクトにコンタクトを取ることも可能です。
ただし費用をかけなくて済む分こうした対応ができる人員が必要ですし、間違っても企業ダメージになるような誤った情報発信をしないよう細心の注意を払う体制が必須です。
費用をかけずにこうした運営を行うことは、それだけ自社が責任を負うということでもあります。
たとえ一定期間だけであってもきちんと採用担当者を任命し、その期間だけは責任をもって採用業務に専任させることが重要でしょう。
仕事の片手間では満足できる結果が出せないどころか、重大なミスにつながるおそれがあります。
採用担当者は採用業務のみに専念させ、書類選考や面接なども確保するスケジューリングが必要です。
こうしたことから、多忙・低予算・低知名度といった要素を逃げ道にするのではなく、自社ならではの採用ノウハウを構築できた中小企業だけが成功を収めていることがわかります。
抜本的な対応を実施することで、たとえお金をかけなくても採用手法は確立できるといえるでしょう。
採用WEBサイトで情報を発信することの重要性
求職者のほとんどすべてが、インターネットを活用して採用WEBサイトの情報を見ています。
SNSやWEB掲示板を活用した採用活動は、自社のイメージを広く一般に知らしめるイメージ戦略としての意味合いも強いですが、採用WEBサイトの活用はダイレクトに採用活動に影響します。
中小企業でも満足な人員確保ができている成功企業は、やはりこうした採用WEBサイトをうまく使っているといえるでしょう。
求職者が一番知りたい企業概要や事業内容、そしてその企業に入社したらどんな日々が訪れるのか、実際に働く従業員や職場環境がわかる写真の掲載が強い力を発揮するのです。
社長からのメッセージなどとともに働くことを呼びかける内容や調べにくい福利厚生の内容など、詳細情報が発信できるのも採用WEBサイト利用のポイントです。
実際にそうした内容を見たことで興味を持ち、応募する求職者も少なくありません。
ただし、こうした採用WEBサイトの利用にはコストがかかりますので、極力コストを圧縮するなら掲載無料のサービスを利用するのが一番です。
期間型ではなくワンクリック費用のサービスであれば、興味を持って見た人の分だけコストが発生するため、費用対効果を高めることができるでしょう。